白十字病院

高度画像センター

診療内容・特色

高度画像センター(放射線科専門医修練機関)

当院では、高磁場(3.0T)MRI装置、320列MDCT装置、80列MDCT装置、SPECT RI装置、血管造影装置(一般用、心臓カテーテル用、脳血管カテーテル用)、MMG装置などを擁し、日々の診療を行っています。また地域医療支援病院として、登録医の先生方とMRI、CT、RI装置の共同利用を推進しています。
当院(白十字会)は、先駆的に電子カルテを自社開発し、フィルムレス化、画像のクラウド化と積極的にICTに取り組んでいます。なかでも特筆すべきは、2006年12月より、クロスネット(地域医療連携ネットワークでカルテの内容や画像を連携登録医と共有) を共同利用のツールとして展開しています。
これからも、地域医療・救急医療を見据えて、画像診断装置の適正かつ有効な配備、更新がもとめられます。
   

高度画像センター導入機器一覧

X線CT検査(コンピュータ断層撮影)

X線CT(Computed Tomography)検査とは、X線とコンピュータを使用する事で体の輪切りの断層画像が得られる診断に大変役立つ検査です。
当院では、2021年4月よりCanon社製の最新鋭マルチスライスCT装置「Aquilion ONE 320列」を、2022年3月より「Aquilion Serve 80列」を導入しています。これらのCTは1回転で体の輪切りの断層画像を0.5mm厚で得ることができ、冠状断、矢状断、または3D画像としても構築できます。また、ほぼ全ての画像処理にAiCE(Deep Learningを用いた画像処理)を用いることで少ない放射線被ばくでノイズの少ない綺麗な画像を提供しています。
 
 マルチスライスCTで撮影した臨床画像
  • 3D‐CTAとは、横断面画像データをもとに血管や骨、臓器を立体的に表示させることです。
  • MPR画像とは、横断面画像データをもとに様々な角度の断面を表示させることです。

検査を受けられる患者さんへ

検査は単純CTで約5分(撮影時間は5秒程度)、造影CTで約15分(撮影時間は10秒を数回)です。当院のCT検査は予約制(急患をのぞく)となっています。予約時間の10分前までには外来受付を済ませてください。(急患によって順番が前後することがあります。あらかじめご了承ください。)
 

造影検査(ヨード製剤)を受けられる患者さんは以下のことにご注意下さい。

検査の途中に使用します造影剤というお薬の副作用によって、大変まれではありますが、気分が悪くなったりする(吐き気がする)場合があります。そのため、患者さんには、絶食をお願いしております。飲水はしていただいて構いません。
※検査中は、常に近くに担当のスタッフがおりますので、安心して検査をお受けください。

 

MRI検査

MRI(磁気共鳴撮像法)とは、強い磁石と電波を利用して色々な方向からの断層像を撮像する検査です。
当院では2021年4月より、従来の装置より磁場強度が2倍になった高磁場のMRI装置(フィリップス社Ingenia Elition 3.0T)を導入いたしました。
  • 磁場エネルギーを用いるので放射線による被ばくの心配がありません。
  • 人体の組織の種類による画像のコントラストがCTよりも高く骨盤部・関節・軟部領域の疾患の鑑別にも有用です。
  • 検査中に痛みを伴うことはありません。
  • あらゆる方向の断層像を得ることができます。
 MRIで撮影した画像
頭部画像(左からFlair、T1強調、T2強調、MRA、BPAS)
 

検査前には

以下のものは検査に影響することがありますので、外していただきます。検査前に金属チェック表を記載してください。また、すぐ外せるものは事前に外しておいてください。

  • 時計、眼鏡、ライター、ヘアピン、鍵、携帯電話、アクセサリー類など
  • キャッシュカード、テレホンカード、クレジットカード、定期券など
  • 取り外しの出来る義歯、補聴器、カイロ、ベルト、エレキバン、湿布、金属のついた下着(ブラジャー)など

検査時間

MRIの検査時間は20分~40分程度です。また、脳卒中などが疑われ、急いで検査を行わなければならない患者さんがおられる場合、検査順番が前後することがございますが何卒ご了承ください。当院ではMRI検査を受けられる方が大変多く完全予約制で検査を行っており、皆様、検査30分前に来院していただいております。来院の際、ご都合などで検査予約時間に遅れそうな場合は白十字病院 放射線技術部:092-884-1633の方までご連絡してください。

検査する上でのご注意

以下の方は検査を受けられない場合がございますので、かかりつけの医師に相談されるか、白十字病院 放射線技術部:092-884-1633の方までご相談してください。

  • 心臓ペースメーカーや刺激電極などを身につけている方
  • 体内に脳動脈瘤クリップや人工関節などの金属が埋め込まれている方
  • 妊婦または妊娠されている可能性のある方
  • 閉所恐怖症など、狭い所が苦手な方 

マンモグラフィー

 
当院では2021年4月よりマンモグラフィ装置がFUJIFILM社製AMULET Innovalityに更新されました。
業界最小画素サイズ(50µm)の直接変換FPDを搭載しているため、微細石灰化の描出能が高くなり、より高精細な診断画像を提供することが可能になりました。また、従来の装置と比べて低線量化も可能になりました。
 ステレオガイド下吸引式乳房組織生検について
新しくステレオガイド下吸引式乳房組織生検が行えるようになりました。
これは悪性の可能性がある(微細な)石灰化病変の診断をする場合に行います。生検用針の自動吸引装置により1回の穿刺で複数の組織標本を採取できるため、早期の小さな乳がんでも、より確実な診断が可能になります。

 

  • ステレオガイド下吸引式乳房組織生検

  • ステレオガイド下吸引式乳房組織生検
    検査風景

 

乳がんとは

乳がんは女性が患うがんの中で最も多いがんで、9人に1人の女性が一生の間に乳がんにかかるといわれています。発症好発年齢は30代後半から40代、60代と幅広い年代にわたり、診断のきっかけは胸のしこりのほか、乳頭・乳輪部の湿疹やただれ、乳頭異常分泌、乳房皮膚のくぼみなどがあげられます。

また、近年は検診をきっかけに発見される無症状の乳がんの方も増加傾向にあります。乳がんは早期に発見できれば約90%以上の方が治るといわれています。検診を受け、月1の自己検診(マンマチェック)や自分の乳房を意識する習慣(ブレストアウェアネス)を身につけて、乳がんの早期発見につなげていきましょう。

【 乳がんになりやすい人の特徴(ハイリスクグループ)】

  • 乳がんの家族歴(母親や姉妹に乳がんのあった人)がある方
  • 閉経後肥満の方
  • 高齢出産の方
  • 授乳経験の少ない方
  • 乳腺疾患にかかったことのある方
  • 女性ホルモン使用中の方

血管造影検査

血管造影検査は、カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入して、造影剤という薬剤を血管内のカテーテル先端から注入することで、目的とする血管を造影し、診断・治療を行うものです。撮影にはDSA(デジタルサブトラクションアンギオグラフィ)が用いられます。これは、ライブ像(造影剤が入っている血管と骨が一緒に写っている)から、マスク像(造影剤注入前の骨だけ)をコンピュータによりリアルタイムで引き算します。この処理により造影剤の入った血管のみ画面に映し出されます。

当院では2021年4月より、手術室内にフィリップス社製バイプレーン血管撮影装置(Azurion 7B20/15)を導入したハイブリッド手術室が新設されました。
このハイブリッド手術室では頭部・胸腹部大動脈・下肢など様々な部位のカテーテル検査や治療が行われています。


 
 

新しいアンギオ装置の特徴

  • 20インチと15インチの2つのフラットパネル検出器が搭載されています。

    この装置は正面用に20インチ、側面用に15インチのフラットパネル検出器が搭載されており、一度の造影で2方向の撮影が同時に行えます。これにより、造影剤使用量を低減させ、検査時間の短縮が可能となり、患者さんの負担軽減が可能になります。

  • 従来の装置に比べて高画質・高精細な画像が得られます。

    この装置は従来の装置に比べ、より高画質・高精細な画像が得られるため、小さい血管を治療することが多いアンギオ検査では、より良い検査や治療が可能になります。

  • 従来の装置に比べ、50%以上の放射線被ばくを低減することが可能です。

    この装置は従来の装置に比べ、放射線被ばくが少ないため、放射線による影響を低く抑えることが可能になります。

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査とは、カテーテルという細いチューブを足の付け根、あるいは手首・肘などの血管から挿入し先端を冠動脈に到達させ、そこから造影剤を注入することで、冠動脈の形態や心臓内腔の血行動態を評価する検査です。撮影した画像をリアルタイムで観察することで診断や治療を行うことができます。当院ではPhilips社製の心臓カテーテル検査装置「Allura Clarity」導入しています。

 

右冠動脈造影

左の症例は右冠動脈の狭窄が認められます。このように狭窄があった場合、カテーテルを利用して治療を行います。これをPCI(Percutaneous coronary intervention)と呼び、この症例ではPTCA(Percuta-neous transluminal coronary angioplasty)を施行しました。カテーテルについているバルーン(風船)をふくらませて血管を広げる治療法です。またバルーンで再狭窄が起こった場合は、金属製のステントと呼ばれる管を血管の内腔に留置する場合もございます。右図では狭窄の部分がきれいに治療されているのが分かると思います。
 

単純X線撮影

単純X線撮影は、検査の目的とする部分にX線を照射してその透過量の差を画像に写しだすもので、健康診断の胸部レントゲン撮影なども含まれます。この単純X線撮影を行うことで、肺の中の状態や脊椎や四肢などに骨折や異常がないか診ることができます。
当院ではこの単純X線撮影システムにFPD (フラットパネル・ディテクター)というデジタルシステムを導入しています。X線撮影システムはフィルムからCR(コンピューテッド・ラジオグラフィ)に代わり、画質の向上や放射線被ばくの低減が図られてきました。FPDでは、その性能と最新の画像処理技術により、更なる放射線被ばくの低減や、高画質で高精細なX線画像を提供することが可能になります。

 

X線透視検査

X線透視検査とは、X線を連続的に出すことで、臓器の動きをリアルタイムで観察できる検査です。代表的なものとしてバリウムを飲んで行う胃の造影検査があります。当院では胃の検査の他にも、食道や大腸の造影検査、内視鏡や超音波装置を併用した治療、骨折や脱臼の整復など、X線透視装置を用いて様々な検査・治療が行われます。当院では2021年4月に、最新式フラットパネル検出器(FPD)搭載の島津製作所社製「SONIAL VISION」を新たに導入しました。当装置はフィルムを使用せず、デジタル画像処理で透視や撮影をおこなっており、視野が広く高画質となったため、患者さんの負担が少ない検査や治療を提供できるようになりました。また、寝台を動かさずに検査できる特徴を持っているので、患者さんや検査、治療をする先生やスタッフにも安全な設計になっています。
  • 操作室風景

  • 待合室風景

核医学検査 (RI)

核医学検査はRI(Radio Isotope ラジオアイソトープ:放射性同位元素)とも呼ばれています。放射線(ガンマ線)を放出する少量の検査薬を、注射などによってからだの中に投与し、取り込まれた薬から放出される微量のガンマ線をカメラで検出し、体内の情報を得る検査です。撮影された画像を一般的にシンチグラフィと呼びます。MRIやCT検査は臓器や病気の形や大きさを調べるのが主な目的ですが、核医学検査は臓器の機能や代謝、病気の活動性を調べるのが主な目的です。
投与される検査薬は、速やかに体の外に排出され、放射能の量はX線による他の検査とほぼ同等で、人体にはほとんど影響ありません。わが国において、核医学検査による放射線障害の事例は発生していません。また副作用の発生は、核医学検査10万件あたりに、2~3件と、ごくまれに発生していますが、内容は、発疹、吐き気、皮膚発赤、かゆみ、など軽い症状です。
 

当院では2009年3月に核医学検査装置を導入しました

当院では2009年3月に核医学検査装置を導入しました。最新技術の採用で安定した高画質の実現が可能です。2つの検出器を使い短時間で検査をおこなえるため、患者さんにやさしい設計です。当院では、全身骨、脳血流、甲状腺機能、ガリウムシンチ、腎機能など年間300件あまりのRI検査をおこなっています。







  

注意事項

  • RI検査の種類によっては食事の制限や下剤を飲んでいただくことがありますが、すべての検査にあてはまるわけではありません。検査に必要な制限や準備はあらかじめご説明いたします。
  • RI検査の種類によって、検査薬の投与(注射など)から撮影までの待ち時間が違います。投与と同時に検査を始める検査や、数時間、数日待ってから撮影を行う検査があります。検査中は、撮影ベッドに寝ているだけで痛みを伴う検査ではありません。数分で終わる検査もあれば1時間以上かかる検査もあります。待ち時間や検査にかかる時間はあらかじめご説明いたします。
  • 金属のボタン、ホックのついた服を検査衣に着がえたり、眼鏡や腕時計などをはずしたりしていただく場合があります。 妊娠中、及び妊娠の疑いのある人、授乳中、乳幼児がいる方は検査を受けられないことがありますので、前もって必ずお申し出ください。

体外衝撃波結石破砕装置(ESWL) 

当院の体外衝撃波結石破砕装置はドニエル社製のドニエルDeltaⅡです。ESWLとは衝撃波エネルギーを体内に照射し、結石を破砕する治療法です。破砕されて生じた砕石片は尿と体外に排出されます。(結石を取り出す手術ではありません)
痛み止めの注射、点滴をしながら破砕を行います。麻酔が必要となることはありません。 衝撃波は3,000~5,000発ほどおこない、治療は1時間前後で終了します。治療後約2時間で歩行、食事、入浴が可能です。副作用、後遺症がほとんどなく、高齢の方、他に病気がある方でも安心して治療が受けられます。

スタッフ紹介

[顧問]宇都宮 英綱

うつのみや ひでつな

専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医
[放射線科部長]中島 力哉

なかしま りきや

専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本医学放射線学会研修指導者
福岡大学臨床教授
[IVR部長]納 彰伸

おさめ あきのぶ

専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医/指導医
日本IVR学会専門医/指導医
日本核医学会核医学専門医/PET認定医
[医長]日隈 由紀枝 

ひぐま ゆきえ

専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医
マンモグラフィ読影認定医AS判定
豊島 宏

とよしま ひろし

専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医